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GUIDE / SETLIST

セットリストの考え方と作り方

曲順のセンスの前に、まず時間です。持ち時間に収まらないセットリストは、当日どこかで必ず削ることになります。

バンド・団体向け 読了目安 8 分 更新 2026/07/27

SUMMARY

この記事の要点

  • セットリストは曲順ではなく、持ち時間の逆算から組む。
  • 押す原因は演奏時間ではなく、MC・転換・拍手といった曲間にある。
  • 1曲目と最後の曲を先に決めると、間は自然と埋まる。
  • 奏者の体力(特に金管の唇と歌の喉)は、曲順を左右する現実的な条件。
  • 押したときに削る曲を、あらかじめ決めておく。

まず決めるのは曲順ではなく、時間

セットリストを作るとき、多くの人は「1曲目を何にするか」から考え始めます。楽しい作業ですが、これを先にやると、あとで必ず時間が合わなくなります。

先に確定させるのは次の3つです。

  1. 持ち時間 — 何分の枠か。対バン形式なら転換込みか、演奏のみか
  2. 開演と終演の時刻 — 会場の撤収時刻から逆算する
  3. 休憩の有無 — 2部構成なら休憩は15〜20分見ておく

この3つが決まると、演奏に使える正味の時間が出ます。ここから曲を並べていきます。

よくある失敗

「持ち時間40分」と言われて、40分ぴったりの曲を並べてしまうケースです。MCや拍手を入れれば確実に超えます。演奏時間の合計は、持ち時間の8割程度から始めるのが安全です。

押す原因は演奏ではなく、曲と曲の間にある

本番が押すとき、原因が演奏そのものであることは多くありません。たいていは曲間です。ここを見積もりに入れていないと、リハーサルでは収まっていたのに本番で超える、ということが起きます。

曲間に発生するもの 見積もりの目安
拍手1曲あたり 15〜30秒
MC(曲紹介・挨拶)短くて1分、話し始めると3分
楽器の持ち替え・ミュート20〜40秒
譜面の入れ替え15〜30秒
ステージ配置の変更・ソリストの移動1〜3分
アンコール拍手を含めて 5分前後

10曲のステージなら、曲間だけで10〜15分になることも珍しくありません。曲間は「あとで詰められるもの」ではなく、最初から時間割に入れておくものです。

特にMCは、担当者が決まっていないと本番で伸びます。誰が、どこで、何分話すのかを事前に決めておくと、それだけで進行が安定します。

曲順は「最初と最後」から決める

時間の枠が決まったら曲順です。ここは端から順に埋めるより、両端を先に決めるほうが早く決まります。

1曲目

もっとも確実に演奏できる曲を置きます。緊張が最も強く、音も温まっていない時間帯です。難所のある曲、ソロで始まる曲、テンポの速い曲は避けたほうが無難です。「つかみ」を狙って冒険すると、そこで崩れたときに立て直せません。

最後の曲

お客さんの記憶に残るのはここです。演奏の完成度が高く、全員で音が出せる曲を置きます。逆に、ここに繊細な曲を置くと、終わり方が締まりません。

中盤

両端が決まると、間は自然と埋まります。中盤は変化をつける場所です。テンポ、調性、編成(ソロ、小編成、全員)を交互に配置すると、聴いている側が飽きません。「同じような曲が3曲続く」のが、聴き手にとっていちばん眠くなる並びです。

奏者の体力は、曲順の制約になる

音楽的な流れだけで組むと、演奏する側が持たないことがあります。これはアマチュアに限った話ではありません。

  • 金管の高音 — 高い音が続く曲を連続させない。唇は後半になるほど戻らない
  • 歌もの — ボーカルが出ずっぱりにならないよう、インストを挟む
  • ソロが重なる奏者 — 同じ人のソロが連続しないよう散らす
  • 打楽器の移動 — 持ち替えや配置換えが必要な曲を連続させない
  • 最後の曲の負荷 — いちばん疲れた状態で吹くことを前提に選ぶ

特に最後の項目は見落とされがちです。リハーサルでは元気なうちに通すので気づきませんが、本番では2時間吹いたあとに来ます。

紙とペンでやると、必ず計算し直しになる

ここまでの作業を紙やホワイトボードでやると、いちばん面倒なのが「曲を1つ入れ替えるたびに、合計時間を計算し直す」ことです。実際には入れ替えは何度も起きます。曲が決まらない、難しすぎる、トラが見つからない、主催者から時間を変更される。そのたびに再計算です。

この計算を画面上で自動化するために、セットリストシミュレーターを作りました。曲を並べ替えると合計時間がその場で変わるので、「この曲を抜いたら何分になるか」がすぐ分かります。

TRY IT

セットリストシミュレーター

曲順の入れ替えと演奏時間の合計を、画面上で試しながら組み立てられます。ログインなしで無料で試せます。MC時間や転換時間も含めて計算できるので、持ち時間に収まるかどうかがその場で分かります。

押したときに削る曲を、先に決めておく

どれだけ計算しても、本番は押します。そのときに慌てないため、事前に決めておくと落ち着いて対応できます。

  1. 削る候補を2曲決めておく — 抜いても流れが壊れない曲を選ぶ
  2. MCを短縮する順番を決める — どのMCから削るか
  3. 合図を決める — 誰が判断し、どうやって全員に伝えるか
  4. アンコールをやるかどうかの基準 — 何時を過ぎたらやらないか

「押したら何かを削る」と決めているだけでは足りません。本番中に「何を削るか」を相談する時間はないので、曲名まで決めておいてください。

当日の進行表に書いておくとよいこと

曲名・演奏時間・累計時間・MC担当・転換の内容。この5列があれば、進行を管理する人が「いま何分押しているか」を即座に把握できます。演奏者用と進行管理用で、別の紙を用意するのがおすすめです。

組み立ての手順まとめ

  1. 持ち時間・開演終演・休憩を確定する
  2. 演奏に使える正味時間を出す(持ち時間の8割から始める)
  3. 1曲目と最後の曲を決める
  4. 中盤を、テンポ・編成・調性の変化をつけて埋める
  5. 奏者の体力とステージ転換の観点で並びを見直す
  6. 曲間(拍手・MC・転換)を加えて合計を計算する
  7. 超えていたら曲を減らす。MCを削って調整しない
  8. 押したときに削る候補を2曲決める
  9. 進行表を作り、MC担当と転換内容を書き込む

7番目が重要です。時間が超えたときに「MCを短くすれば入る」と考えると、当日ほぼ確実に押します。曲を減らすのが確実な解決策です。

最終更新: 2026/07/27